開かれた牧場を目指して

愛知県岡崎市・片岡牧場

片岡牧場は愛知県岡崎市の山間地域にあります。
昭和29年に祖父が子牛1頭から始めた牧場も、現在では飼養頭数65頭の牧場となりました。
現在は、2代目となる父を筆頭に、母、私の3人で仕事を行っています。

我が牧場は、平成17年度に地域交流牧場全国連絡会に加入し、酪農教育ファームとして認証され、翌18年度4月から本格的な活動を開始しました。
その必要性を感じたのは、父によると、20年程前からだとい言います。
もともとその頃から、要請があれば地元の小学生の牧場見学などを受け入れており、その有用性を感じていたようです。
そんな折、「家が牧場だから」という理由による、私たち兄弟に対するいじめが発生しました。
両親はこのことがあって、より一層、周囲の人に酪農について理解してもらいたいと思うようになったといいます。
しかし、地域交流牧場としての活動を始めるのは人員的に難しく、先送りとなっていました。

平成15年、私は北海道での研修を終え、本格的に従業員の一員となりました。
そして、私が入ったことにより、地域交流牧場活動への参加に向けて動き始めました。
地域交流牧場参加への一番の理由は、やはり酪農への理解の促進です。
私自身がいじめを経験したことにより、特に牧場について理解してもらいたいという気持ちが強まっていました。
無理解から生じる偏見を少しでも減らそうと、『開かれた牧場づくり』を目指しました。
また、研修会などに参加することによって、横のつながりを作るとともに、これまで苦手としてきた人前で話すことを少しでも克服したかったということもあります。

酪農教育ファームとして認証されても、活動はそれ程大きく変わってはいません。
以前と同様に、地元の小・中学校の酪農体験などを受け入れ、個人的にも要請があれば大人でも子どもでも、来るもの拒まず受け入れています。
しかし、認証されたことで、しっかりとした受け入れ態勢が確立されている中で活動できるという安心感はありました。
また、研修会などで他の牧場の工夫を学び、それを取り入れることにより、活動の幅が広がったように思います。 例えば、地元の小学校への子牛の貸し出しもその一つです。同じような活動を行っていた牧場を参考にして行いました。
小学校へ子牛を1頭、2週間貸し出し、子どもたちがその世話をしました。
私たちは、学校側からの連絡がない限りは様子を見に行くということはしませんでした。
子どもたちは子牛に“ボンちゃん”という名前をつけ、毎日餌をやり、校庭を散歩させました。子どもたちの反応は、我々酪農家にとっては新鮮なもので、逆に子どもたちから教えられることも多くありました。
ボンちゃんと子どもたちの交流はその後も続きました。
1年後、ボンちゃんが共進会に参加した際には、子どもたちが手綱を引きました。
ボンちゃんの出産にも、子どもたちは立ち会いました。そして、自分たちが体験したことをもとに、出産シーンを劇にして学芸会で発表しました。
これら一連の活動を通して、直接牛と触れ合った子どもたちだけでなく、その親たちにも酪農がどんなものなのか、理解してもらえたのではないかと思います。

地域交流牧場全国連絡会に加入して3年。
これまで多くの人と接する中で多くのことを学び、そして、酪農理解の促進に少しは貢献できたのではないかと思います。
これからも『開かれた牧場づくり』を信念に、より一層、酪農への理解促進に努めていきたいと思います。
また、不登校や特別支援学級の子どもたちなどを受け入れ、動物と関わることによって自分を見つめるきっかけを与えるような、アニマルセラピー的な活動もしていけたらと考えています。