私と酪農と教育

福井県福井市・名津井牧場

私の牧場は福井市の中心地より、北西に4キロほど離れた郊外で周りは水田が広がっています。
酪農経営の規模は、成牛30頭、育成牛20頭、他に県営牧場に12頭を育成預託しています。また、水田5haとジェラートアイスの製造販売と農産物直売の併設店「ファームサルート」を開設しています。
家族は、私と妻と孫(大学院生)で、長女(嫁ぎ先より経営に常勤)も経営に参加しています。 私の酪農経営歴は52年になり、酪農経験は56年を数えます。

酪農を営む動機は、私が3歳の時、父が戦死、13歳の時、母が病死。翌昭和23年に福井大震災と大水害で壊滅的な被害を受けました。それで、叔父の家で養育を受けることになりました。
叔父は、教員、村長、農協長、県会議員を務めた人で、戦後、早くから水田酪農を提唱し、昭和22年に同志と共に、北海道から乳牛を導入した人で、福井県酪農の先駆者でありました。私は叔父の薫陶を受けながら、叔父の手足となって乳牛の飼養管理と共に農作業のすべてにたずさわりました。

昭和19年、私は成人式を迎えるに当り、叔父の了解を得て、水田2haと馬1頭で農業経営者としてスタートしました。昭和33年に家畜人工授精師の免許を取得し、福井市を中心に乳牛、和牛の人工授精に携わりました。昭和36年に、長野と北海道から乳牛を導入し水田酪農を開始し現在に至っています。

その頃の私の農業経営理念は、一年の収入は米、月々の収入は牛乳、日々の収入は人工授精業務の三つを柱としていました。現在は、人工授精業務が無くなり、変わりにジェラートアイスの製造販売と農産物の直売店を取入れています。経営的には未だ未だですが楽しみでもあります。

酪農教育ファームの認定を受けた動機は、20数年前に、地元の小学校より乳牛の見学と乳牛の写生、そして、乳牛の話をしてほしいとの要望があり地元の学校教育の一助になればと思い引き受けさせてもらいました。
平成6年には近くの福大付属小学校が総合学習研究校となり、動物とのふれあいに、私の牧場が選ばれました。2年生の児童50名ほどが来場し「乳搾り体験」「餌やり体験」をして、研究発表の日には、子牛を小学校まで連れて行き児童の歓声を浴びました。

私の牧場に訪れる人は、小学校、中学校、幼稚園、保育園、公民館、学習塾、PTA、グループの方がたです。
少しずつ増えて、平成19年には420名ほどの方が来場されました。約1時間半ほど、搾乳体験、餌やり体験、私の乳牛の話に耳を傾けてもらっています。平成17年に、県、市、農協の指導を受け、ジェラートアイスの製造販売と、近隣の園芸農家の協力を得て、農産物直売店「ファームサルート」を開設し消費者との交流を深めています。

私は、人間形成の根本は教育であると信じています。愛する心、感謝の心、思いやりとやさしさ、感動の心は動物とのふれあいから育つと思っています。教育とは、「学校で教え、家庭で育てる」事で、私はその一翼を荷っているつもりです。