多くの人に支えられて

栃木県那須塩原市・体験館 "TRY" "TRY" "TRY"

私の住む那須塩原市は、首都東京に160kmの距離にあります。近くには那須温泉、板室温泉、塩原温泉などもあり、 多くの観光客が訪れます。
また、酪農と農業も盛んで、首都圏への食料供給地として、重要な役割を担っています。
近年「食の安全」に対する関心がますます高まる中、全国各地で生産者と消費者との顔の見える関係づくりとして、さまざまな取り組みが行われるようになりました。

私は1967年に義父から11頭の乳牛を預かり2代目として就農しました。
結婚当初は夫婦2人で大きな酪農家を目指していましたが、今から30年前、第一回目の生産調整となり、せっかく搾った牛乳を出荷できず、捨てなければならない状況になりました。
近くには別荘が建ち始め、糞尿の規制もかかるようになり、都会より訪れる人達から「酪農は臭い、汚い、早朝からの機械の音もうるさい」などの影の声も聞こえていました。
将来どのようになってしまうのか不安になった夫は、1979年このままでは酪農だけでは暮らして行けなくなると他の職に就いてしまいました。

酪農は私の経営となり、なんとしてもこの酪農を守り続けたいとの一心で、古い牛舎に絵を描き、周辺には沢山の花を植え、別荘に来る人達との友好関係をつくり出し、酪農への理解を求めて行こうと立ち上がりました。
積極的に声を掛け牧場に招き入れ、牛乳料理のレシピを配り、片手には牛の糞を持ち、もう片方にはサイレージを掴み、牧場の匂いは何なのか。……また生産の工夫や苦労、誇りとして思うことなどを本音で語り、牛乳消費拡大のお願いをしました。
しだいに別荘に訪れる人達は声をかけてくれるようになり、いろいろな新しい情報と消費者としての思いを話してくれるようになり、交流が始まりました。

1997年2月、何年か後、教育改革が始まる事をキャッチした私は、独自で勉強を始めました。その頃グリーンツーリズム専門養成講座受講により山崎光博先生との出会いがありました。
そして、農山漁村の人達は、知恵と工夫で人や地域を元気にできる力があることを学びました。
自分を思えば、今まで生産現場のありのままの姿から、しっかりと生産工程や工夫を伝えてきたから、別荘にくる人達と仲良しになれたんだ!と確信しました。
そして、さらなる交流の拡大へと、牧場を学びの場として提供し、多くの人達に食と農の大切さを伝えていこうと1999年、「体験館 "TRY" "TRY" "TRY"」をオープンしました。

地域交流牧場全国連絡会に入会して、多くの仲間や伍代正樹先生との出会いがありました。全国から集まる酪農の仲間は皆思いは同じで、時の過ぎるのも忘れ語り合い、笑顔あり涙あり……。
また伍代先生は、私の活動に感動し、私も先生の話に耳を傾け、学力だけが勉強ではなく、SOSを見つけ出す聞き上手になろう!凡ての人間育成のためにと、強く心に秘めました。
伍代先生が命の限り私たちに伝えたかったことは、体験を通して豊な人間を育む酪農教育ファームとして、牧場を次世代を担う子供達のために提供することでした。

いろいろな人との出会いにより支えられ、多くの体験者を受け入れながら毎日楽しく酪農をしています。
これからも互いに学び、刺激し合い、食と農の理解促進と次世代を担う子供達のために大切なことを伝えていきたいと思います。