DFと共にこれからも

長崎県佐世保市・さとむら牧場

長崎県佐世保市。自衛隊や米軍、「佐世保バーガー」でも有名な同市。しかし想像とは違って、山奥の中山間地域に「さとむら牧場」はあります。牧場の周りは山々に囲まれ、山の湧き水が豊富で、初夏には蛍も自宅の庭で観賞できるほどです。イノシシはもちろん狸・アライグマの野生動物にもお目見目することがあります。牛にも、人にも、とても素晴らしいところです。
平成20年6月現在、飼養頭数85頭、家族構成は祖父母・両親・弟・主人(現経営者)・妻(筆者)・長女・次女の総勢9名です。
酪農業は昭和40年頃から始まり、主人で3代目となります。最初は乳牛1頭から始まり、両親の結婚(昭和52年)を機に繋ぎ牛舎・パイプラインの導入、平成14年12月フリーバーン牛舎・6頭スウィングパーラー導入、と規模拡大を進めてきました。平成20年より牧場オリジナルのアイスクリームと飲むヨーグルトの販売を開始しています。

地域交流牧場全国連絡会との出会い
平成15年、乳製品を製造したいが、施設や資金のことで悶々としている頃、「地域交流牧場」に所属しました。実は、「九州内で乳製品を製造している方々からいろいろな情報がもらえる」という安易な動機での入会でした。しかし、九州中の会員酪農家の方々と知り合いになり、様々な行事に参加し、いろいろな話を聞くことにより視野がとても広がりました。特に流通・製造部会での大学での乳製品研修会は先輩酪農家さんの熱い乳製品への思いを共感することができました。
地域交流牧場会員の方々の話を聞く内に、今ある資産で「何かができる!」と感じました。それからは私達の「酪農教育ファーム」への思いはどんどん膨らみ始めました。また、九州各地で行われる「わくわくモーモースクール」にも積極的に参加し、先輩方のノウハウを勉強させてもらっています。そして平成18年2月長崎県で初の「酪農教育ファーム」に認証されました。

消費者交流 「酪農教育ファーム」
「さとむら牧場」では搾乳体験・哺乳体験・心音聴き・餌やり・バター作り等を来場者に体験して頂いています。受け入れ実績は、地元の幼稚園・大学の教育機関、佐世保市主催の「させぼミルクツーリズム」、子育てサークル、総合型地域スポーツクラブ等、多岐にわたっています。
何よりも子供たちに地域に酪農の仕事を知ってもらうこと、また「いのち」でつながっている産業であること、循環型農業である事を伝えたいと思い実施しています。
もちろん、昨今の牛乳の消費低迷に歯止めをかけたいとも願っています。が、消費者の購買行動を変えるというのは容易ではありません。それなら、牛乳の生産現場そのものに見て・触れて・体験することが、人々の心に訴えるのではないかと考えています。実際、牛乳が牛の乳房から出てくること、牛乳が温かいことに感動したり、心音を聴いて生きている事を実感されたりしています。
私たちも消費者の方が牛乳に対して酪農に対してどのように考えているのか知ることができ、これからの経営戦略の参考にもなります。また、一般の方が牧場にみえると言うことは私たちにとっても良い刺激になります。「安全・安心・新鮮な牛乳を生産しよう」、「より良い牛を育てよう」、「牛舎の環境を良くしよう」等、仕事に対して前向きになりました。

さいごに
地域交流牧場全国連絡会に入会したことで「さとむら牧場」は、とても良い意味での変化をし続けています。酪農業は地域性が強く、それぞれのポリシーがしっかりしているため他を受け入れるのは難しいと思われます。その中で変化=進展していくことでパイオニア的な存在となりつつあります。しかし、そうではなく酪農家同士が共に共進して行ける様な活動をしていけたらと考えています。
「酪農」はただ単に牛乳を搾るだけの単純労働ではないのです。365日24時間牛と付き合い、彼らの“命”を支え、共に生きていることを感じ合っていかなければならないと思います。牛を愛せば牛も私達を愛してくれます。また彼らは私たちに新しい命も預けてくれます。それらを無駄にせず、ありがたく育て活かしていくことが彼らに対する敬意ではないでしょうか。命を懸けて私たちの“命”を支えてくれているのですから。

※DF…地域交流牧場全国連絡会の略称