「酪農教育ファーム」から
「飛騨中野教育ファーム推進協議会」へ

岐阜県飛騨市・牧成舎 鮎の瀬牧場

牧成舎の創業は明治30年、岐阜県高山市丹生川町で牧田源兵衛が開業しました。京都の本願寺へ参拝の折に乳牛の子牛を雌2頭、雄1頭を購入して帰宅をしたことを機に、酪農業そして、牛乳製造販売業を始めることとなりました。
大正10年、現在の飛騨市古川町へ移転後、昭和10年には内務省指令による洗瓶室・充填室・ボイラー室・検査室等に区別された新設工場を建設しました。
昭和47年には酪農組合を結成し、飛騨市古川町中野区を中心とした各酪農家から生乳を集乳して、加工製造を専業とすることになりました。

平成14年秋、中央酪農会議・地域交流牧場全国連絡会主催の酪農協グリーンツーリズムと酪農教育ファーム(フランス)の研修旅行に、ある方に紹介していただきメンバーではありませんでしたが特別に参加させていただくことが出来ました。
そこで何に一番驚いたかと言うと、酪農家のお嬢さんたちから口々に、
『うちのお父さんってカッコイイ!』と言われたことです。
『酪農家がカッコイイ!』
衝撃的な言葉でした。そこには酪農家のアイデンティティーがありました。

以前より自社牧場を持ちたいと考えていた父(牧田昭信・80歳)の熱意もあり、牧成舎では中山間地域の小さな牛舎を改造し、数頭ではありますが 牛を飼い、「酪農教育ファーム」の認証を受けることが出来ました。
酪農家のメンバーでモーモー体験スクールの補助事業をうけ、地元の小学校1、2年生を招いて酪農体験を行い、喜んでもらいました。この中野地区では、酪農の堆肥(たいひ)の汚臭問題が地域の大きな問題となっていましたが、そのことにより、地元・中野区は飛騨市へ環境整備の要望書をあげて下さいました。
もともとこの地区は、飛騨市の中でも教育に熱心な地区でもありましたので、負の資産とまで言われた酪農が、少しずつコミュニケーションの場として光を見出すようになりました。

3年目の牧場は、地域交流牧場のメンバーのラブリー牧場のジャージー乳も仲間に加わり、9頭の乳牛がいます。そして2年を経た現在では、地元中野区の団塊の世代の人達で立ち上げた朝霧ファーム、飛騨市教育委員会、飛騨市、古川酪農、牧成舎鮎の瀬牧場で、「飛騨中野教育ファーム推進協議会」を立ち上げ、平成20年度農林水産省のモデル事業の受諾を受けることができました。
ここでは、
1.「食べる」ということは「作る」ということ。
2. 作って食べる「楽しみ」
3. 親子の中で農業や酪農を楽しみながら学ぶ「食の大切さ」

などを地元で見いだすことによって、
「地域の大切さ」
「地域力」
「ふるさとを誇りに思う気持ち」

を導きだしていけるような場を作っていきたいと思っています。

春、まずは土作りから始まりました。鮎の瀬牧場の堆肥(たいひ)をペイローダーで何杯も何杯も運び、水田だった7畝(せ)の土地を畑に替えます。堆肥(たいひ)のいきわたった所、まだまだ十分ではない所、水はけの良い所、そうではない所、作物は素直に反応してくれます。カチカチで固い粘土質の土壌では南瓜の芽は出ません。堆肥の量が足りない土壌ではジャガイモやトマトは成長が止まってしまいました。それでも、農業を経験したことのない私には全てが新鮮です。
ましてや、数年前にはこの中野地区から出て行って欲しいとまで言われ、嫌われた酪農業を応援して教育ファームを立ち上げてくださった朝霧ファームのメンバーに感謝し、汗を流し作業をした後のビールの美味しさには格別のものがあります。
田植え、種まき、苗植え、収穫などの年間の農作業があり、ジャガイモパーティー、おにぎり作り、キムチ作りといった「作る・食べる」楽しみがあります。農園のなかには、お母さん牛や子牛と触れ合あえる動物がいるという安らぎがあり、笑い声が聞こえます。準備をした農場や牛舎で、子供達の笑顔と玉のような汗、喜びや驚きに触れることは、携わる私たちにも幸福な気持ちをあたえてくれます。

地域交流牧場全国連絡会のメンバーは先駆的な活動をしてきました。
すでに酪農教育ファームの歴史があります。そこが基点となって、すえ広がりの新しい活動の場が出来れば、日本の教育ファームはどんどん活発に活動していくと思います。

子供達の身辺には、学校給食の牛乳や乳製品があります。乳牛の堆肥が有効な、教育ファームの農園があります。循環型農業が、地域の人達から見直されています。出来ることであれば、学校給食の食材の野菜まで生産でき、それがきっかけで点が線に、そして面にとなっていければ、『いただきます』『ごちそう様でした』という命をいただく「食育」へのつながりとなると思います。

小さな地方の乳業メーカーの牧成舎は、酪農教育ファームを基点に、地域で一番豊かな水田地帯となったこの地区が、これからの社会にとって本当の豊かさを伝える地域となることを願っています。
そして、鮎の瀬牧場・鮎の瀬農園が子供たちや高齢者の笑顔が絶えない楽園となり、いつの日か、小さな乳製品の工房が、この中野の丘に建設出来ることを夢見ています。