開牧50年の歩みからの飛躍へ

青森県上北郡・カワヨグリーン牧場

「八甲田山の見える丘で牧場を経営する」という長兄の夢の設計を三兄が引き継ぎ、1957年、掘立小屋のランプ生活で親牛1頭子牛1頭羊2頭から牧場創りは始められました。 しかし、3年後の一番厳しい時期に他界され 親の反対を押して五男の彰五郎氏が夢の牧場作りに取り組まれたのです。

2006年6月25日、真新しいタンデムパーラー(2頭が縦に並び搾乳者は立ったまま牛の出し入れや搾乳作業ができるタイプ)に乳牛が入り、白い牛乳がラインを流れました。 5ヘクタールの放牧地と柵、30頭収容可能なフリールーズバーン((牛を繋がず自由に寝起きや菜食ができ搾乳時にパーラーに入る)形式の新牛舎が完成し、稼動を始めました。

開牧50周年を迎える前年に、3度目の移転となった牛舎。これまで利用していた牛舎は老朽化し周辺環境も悪化した事と、川口オーナーの永年の希望であった「購入飼料に依存せず放牧酪農による牛乳生産」を実現するために、様々検討を重ね現在地に建設することになったのです。

牧場運営に携われて以来、県内でもトップクラスの生産をした時期や生産技術も積極的に導入される等、常に先駆者として歩まれたオーナーが決断されたことでした。 このことは、現在の高位生産、大量生産、土地から離れた海外からの購入飼料依存の酪農業界の中で異質の選択に見えるかもしれませんが、世界を熟知され、日本をこよなく愛される川口オーナーには、土地の広さの範囲で無理なく牛や羊などの家畜をバランス良く飼う牧場の将来の姿が見えているのだと思います。時流に流されない「農」の力強さを求めておられるのではないでしょうか。

開牧間もない頃の開墾期、牛や羊が増えユースホステルにも人が多く来た拡大期、生産が最高だった隆盛期、バブルの崩壊と同時に教育ファームに重点を置いた移行期という変遷の中から、今、この牧場は更に質的変化を成し、まさに「自然と人間のハーモニー」というスローガンを高々と掲げた牧場に生まれ変わったのです。

4月から11月まで昼夜放牧された牛達(ホルスタイン、ジャージー、ブラウンスイス)から恵まれた牛乳をボトルに詰めて販売を始め、アイスクリームや生ハム、ソフトクリームと共に牧場のオリジナル商品として多くの人に提供できるようになりました。近い将来にはヨーグルトやチーズを製造できる施設を拡充していく計画です。
また、開牧時期以来続いてきた援農学生や実習生を受けてきた伝統は、教育ファームとしてさまざまの体験メニューを準備し、地域の皆様に活用いただくことで引き継がれております。

私は、川口オーナー夫妻を中心にした多くの人達の努力により築き上げられたすべての牧場のありさまと、計り知れない人とのネットワークに心から敬意と深謝を申し上げるとともに、今後の牧場運営は、放牧酪農を土台に、レストランや宿泊施設、整備された豊かな自然環境が一体となり、来場者に癒しと幸福を提供していくことが出来るよう努力してまいりたいと思います。