乳牛が美味しいミルクを出すためには、決められた時間に餌を食べてミルクを搾るという規則正しい生活が必要です。 消費者の皆さんに良質なミルクをお届けできるよう、牧場では牛たちに寄り添いながら、さまざまな仕事をこなしています。

乳牛の起床と同時に、酪農家の1日がはじまります。

●牛舎の掃除

乳牛が1日に出す糞は20~40kg、尿も6~12ℓとダイナミック。
夜中に出した糞や尿を取り除き、牛たちが気持ち良く過ごせるよう、牛の身の回りを清潔にすることから一日が始まります。

●搾乳

まず手で搾乳し、牛の体調に異常がないかどうか調べます。 次に乳頭をきれいに洗い、タオルで拭いて乾かしてから殺菌・消毒したミルカー(搾乳機)を着けます。
乳頭は敏感な場所で、ここからバイキンが入ってくる可能性が高いので、搾った後も丁寧に消毒します。

●餌やり/放牧

搾乳を終えた牛たちは、放牧場のある牧場では草を食むために放牧場へと出かけて行きます。

放牧場を持たない牧場では牛舎で食事です。 牛たちが質の高いミルクをいっぱい出してくれるように、おいしくて栄養価の高い餌を与えます。
牛の主食は草ですが、実はとうもろこしなどの穀物類が大好物で、それだけを分けて食べようとすることもあります。与える餌は栄養バランスを考えて調合し、牛がより分けられないよう機械を使って餌をブレンドするなど、工夫して与えます。

ミルクを搾り取ってもらってカラダが軽くなった牛たちは、放牧場や牛舎や場で草を食みながら、まったり過ごします。
でも牛がのんびり過ごしている間も、牧場には大切な仕事がたくさん!

●ミルクの集荷

バルククーラー(貯蔵タンクと冷却機を組み合わせたもの)で冷却保存されたミルクは、当日または翌日に専用のタンクローリーで集荷されます。タンクローリーで集荷されるとき、数戸の酪農家のミルクが合乳されるため、一戸の酪農家のミルクの異常は、タンクローリー1台分の大きな被害につながります。そのため集乳時には、ミルクの色や風味、異臭、異物の有無、アルコール検査、細菌数など厳密に検査が行われます。

●子牛の世話

生まれてすぐに、子牛は母牛から離されます。母牛に代わって世話をするのが酪農家で、代用乳やミルクを飲ませたり、生後6週目くらいからは離乳用の飼料を与え、子牛の成長を見守ります。

牛の世話や牛乳の出荷を終え、お昼ご飯を食べて一休み……といきたいところですが、牛たちと一緒にまったりはできません。 牛の世話以外にも、酪農家の仕事はいろいろ。

●牧草地の手入れ

冬場の餌に備えて、春から秋にかけては種を蒔き、牧草を刈り取る作業に神経を使います。冬は次の牧草作りのために、牧草地に堆肥を入れて土作りを行います。

●堆肥作り

毎日大量に出る乳牛の糞と尿を堆肥舎に運び、微生物の力で発酵が進むように切り返し作業を行います。堆肥舎は3~4の区画に分かれていて、発酵が進むにつれて堆肥を次の区画を移していきますが、1日でも作業を休むと糞と尿が溜まっていき、作業に負担がかかります。

●餌の管理

ねずみやは虫類など他の生物に餌を侵食されたり、湿気などでカビが生えたりしないように注意します。

乳牛たちは、一日のほとんどを食餌に費やします。
放牧場や牛舎でのんびりと草を食み、時には仲間同士でコミュニケーションをとりながら、思い思いにまったり過ごします。
そんな牛たちを観察するのも、酪農家の大切な仕事です。

●乳牛の健康チェック

乳牛は法律で定期的に健康診断を受けることが義務付けられていますが、それ以上に乳牛が健康であることは、元気な子牛を産みおいしいミルクを出すための基本になります。そのため、牛たちの様子がいつもと変わらないか常に観察。家畜保健衛生所の獣医師も巡回して、牛たちの健康に気を配っています。
また、発情を見極め、子牛を妊娠できるように種付けを行うことが、何よりも大切な健康観察でもあります。
そして伸びた蹄も定期的にカット。牛も意外とオシャレさん!?

いえいえ、これも健康管理の一環です。

ほとんどの牧場では1日2回搾乳を行います。
1回目の搾乳の後、次のミルクが出るのは約12時間後です。この間隔でミルクを搾ることで、乳牛の健康は保たれています。

牛たちは、昼間は短時間の睡眠をくり返していますが、夜にはまとまった睡眠をとり、その間にミルクをたっぷり蓄えます。

牛が寝た後も、酪農家たちは飼料の配合を見直したり牛の健康チェックリストに目を通したりしています。 出産を間近に控えた牛がいる場合など、万一に備えて牛舎に泊まり込むことも。
ですが大体は10〜11時頃には就寝します。 なかにはブログやソーシャルネットワークでの情報発信に余念がない宵っぱり酪農家もいますが、大切な牛たちが待っているので、どんなに夜遅くなっても朝一番には目を覚まします。



牧場の仕事を分かりやすくするために、時間ごとに作業を割り振ってご説明しましたが、毎日決まった時間に行っているのは搾乳と牛の食餌の支度で、その他の作業は日によって、また季節によって変わります。
酪農家が常に心がけているのは、作業の効率化ではなく、どうしたら牛がストレスなく暮らせるか。 そのために、各牧場ごとにさまざまな工夫を重ねています。